刺繍は文化の広がりとともに多彩なジャンルを生み出し、その魅力は今も尽きることがありません。国や技法の枠を超えて、新しい表現が次々と生まれる──。
刺繍アートフェスティバルは、そんな「刺繍の多様性」が一堂に集まる場です。
2025年の出品作品のほんの一部をご紹介します。
このページでは大まかにジャンル分けはしていますが、実際には枠に収まらない刺繍もたくさん出品されています。ミックスした技法でも大丈夫。むしろ“あなたらしい表現”として歓迎します。安心してご応募ください。
もっと作品をご覧になりたい方は「刺しゅうアートフェスティバル2025図録集」をご覧ください。
色とりどりの糸で布の上に自由に描くように刺す、最も親しみやすい刺繍のひとつ。小花やモチーフから始められ、組み合わせ次第でどこまでも表現が広がります。刺繍を「絵を描くように楽しむ」魅力が詰まっています。
仕上がり面の裏側からビーズやスパングルを極細のかぎ針で刺し止めるフランス・ロレーヌ地方発祥の伝統刺繍。オートクチュールに用いられる代表的な刺繍技法の一つです。
布目を数えながら×印のステッチを連ねて絵柄を描く、もっとも広く親しまれている刺繍。素朴で可愛らしく、図案どおりに進めれば誰でも美しい仕上がりに。小さなモチーフから大きなタペストリーまで、完成した時の達成感も魅力です。
布の織り糸を抜き、残した部分をかがって透かし模様を作る、北欧生まれの幾何学的な刺繍。カットワークとステッチが織りなす模様はまるでレースのようで、爽やかな空気感をまといます。規則的でありながら、仕上がりはとても華やかです。
昨年は使用を一部に制限していたリボン刺繍も、2026年からは主役として出品OKに!華やかで優雅、そして“あなただけの個性”が光るリボン刺しゅう作品をぜひご応募ください。
サテンやシルクのリボンを布に通し、ふっくらとした立体感で花やリースを描く華やかな刺繍。ひと針で咲いたように見える花びらや葉は、思わず触れたくなるほど優雅。布の上に花束を飾るような楽しさがあります。
立体刺繍は、布の平面を超えて“作品そのものが立ち上がる”表現です。正面から見るだけでなく、多方面から見ると印象が変わり、影の落ち方までデザインに含まれる、まさに刺繍と造形が融合したアートです。
古くから受け継がれてきたインド発祥の伝統的な刺繍技法です。先端がかぎ針状になったアリワーク専用の針を使い、ビーズやスパンコールを表から一粒ずつ縫い留めていきます。
インドの宮廷で生まれた繊細かつ豪華な衣装に用いられていたものが、現代ではプロ職人だけでなく、人々が楽しめる手芸やアートとして歴史を紡いでいます。
デンマークの農村で19世紀に生まれた伝統的な白糸刺繍です。布に穴をあけ、その縁をかがって花びらや円形模様を描き出しレースのような透け感を作り出します。素朴な中に繊細な美しさがあり、北欧の清らかな空気を感じさせるような刺繍です。
文字をそのままモチーフにして刺す技法です。自分や家族のイニシャルをハンカチやリネンに入れるなど、暮らしに寄り添ってきました。モノグラム刺繍は特に、二つ以上の文字を組み合わせて模様のようにデザインするもので、シンプルながらも個性を表せる魅力があります。